ある少子化対策

2017年06月29日 09時15分

 昔と今とを比べ随分変わったなと感じるのは外で遊んでいる子どもの数である。筆者は昭和30年代後半の生まれだが、当時は家の周りや近所の空き地、公園で子どもが群れを成して遊んでいた

 ▼鬼ごっこ、かくれんぼ、野球、虫捕り―。その時々で仲間は入れ替わるが人数が減ることはなかったように思う。子どもがそこら中にあふれていた印象だ。近頃はそんな風景をあまり見掛けない。静かすぎて寂しいのである。最近公表された2017年版の「少子化社会対策白書」によると、出生率は第2次ベビーブームが頂点に達した73年から一貫して低落傾向にある。出生数も73年は209万人いたのに、15年には100万人とその半分にも満たない。ニシンではないが道理で群れを見る機会が少なくなったわけである

 ▼原因はといえばそもそも結婚しない人が増えた。人口1000人当たりの婚姻件数を表す婚姻率が、ピークの72年で10だったのが15年は5・1とこちらも半減。なるほど、産声も小さくなるはずだ。独身の理由は男女とも「適当な相手に巡り会わない」が最多。出会いがないらしい。あらためて少子化が気になったのは、日本生産性本部が26日発表した新入社員「働くことの意識」調査を見たため。「デートの約束があるのに残業を命じられたら」との質問に、デートを選ぶ人が年々増えているのである

 ▼良い流れでないか。仕事に大半の時間を奪われては恋愛する暇も作れまい。むしろ会社に粋な計らいがほしいところ。それがいつか子どもの群れを呼び戻すことにならぬとも限らない。


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