「あなたにとって大切な日はいつですか?」。そう質問されたら皆さんは何と答えるだろう。すぐに思い付くのは誕生日。一番多い答えかもしれない。他にも夫婦なら結婚記念日、社長なら会社創立記念日と人それぞれ自分なりの「大切な日」があるのではないか
▼「サラリーマン川柳」(第一生命)の名作に「記念日に『今日は何の日?』『燃えるゴミ!!』」との句があったが、それも確かに大切な日には違いない。米国民にとって「大切な日」といえば、7月4日の「独立記念日」だろう。旧世界のくびきを外して歩み出した、いわば国の誕生日。米国の基層にある「自由」の価値観を象徴する日というわけだ
▼よりにもよって北朝鮮は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と称する「火星14」の初めての発射実験をその日にぶつけてきた。しかも金正恩朝鮮労働委員長は現地視察し、このICBMは米独立記念日の贈り物との趣旨の発言までしたそうだ。複数のメディアが伝えていた。あからさまな脅しである。日本や韓国など近隣諸国を含めた国際社会は懸念を深めているが、「自由」の理念を踏みにじられた米国民はそれ以上に憤りを感じているのではないか。つい最近、北朝鮮に拘束されていた米大学生が意識不明のまま返され、その後亡くなった事件があったばかりである
▼結婚記念日を忘れた夫が妻から責められるのはよく聞く話。これが分かっていてあえて無視したのなら関係悪化は避けられない。では、わざと嫌がらせをした北朝鮮との関係は―。米国だけではない。世界がそれを見ていた。