国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けて先進的な取り組みを行う、「SDGs未来都市」に選定されたニセコ町は、2030年のあるべき姿などを盛り込んだ「SDGs未来都市計画案」をまとめた。これによると、観光業と農業を維持し、環境政策を取り込んだ「NISEKO生活・モデル地区構築事業」を打ち出し、定住促進を図る方針だ。
同計画に掲げる「サスティナブルタウンニセコ」では、観光業と農業の二大産業を下支えする環境を、住民自らが守り生かし、再生可能なエネルギーを柱とする資源、経済が循環するまちを目指す。
経済では観光業を呼び水として、幅広く産業の投資を呼び込み、適正な雇用創出と起業、創業を促す。地元中小零細企業の設備更新や新規投資による生産性向上対策を支援し、域内経済の好循環を図り、波及効果と収益を高める。
全国で初めて制定した「まちづくり基本条例」に基づき、住民と行政のパートナーシップを推進するほか、環境面では50年までに1990年比でCO排出量の86%削減と再生可能エネルギー100%達成を掲げる。
SDGs推進では20年までに、人材不足解消のため、道や近隣市町村と連携しての人材マッチング、人材育成に関する事業を実施する。
農業では農地再編整備を進めて生産性向上を図り、農産物の地元観光施設への流通、ブランド化を進める。
20年度改定予定の総合計画、環境基本計画、19年度策定を目指す環境モデル都市アクションプランでは、SDGsとの関連性を盛り込む考え。
計画案の中心となる、「NISEKO生活・モデル地区構築事業」は地域金融機関、住宅関連事業者などと協力。町は民間賃貸住宅建設に関する建設費補助や土地の無償定期借地権の設定、金融機関は建設資金の融資、住宅関連事業者は低コストな施工や管理運営を、それぞれ担う構想だ。