誰もが一度や二度、似たような経験をしているのではないか。例えば少し高い棚の上の物を取りたかったとする。ところが、脚立も踏み台も見当たらない。そこで目に付いたのが百科事典。重くて平たいから安定しそうだし、何冊か重ねれば高さもちょうどいい
▼いざ実行してみると、これが案外と狭く足元もグラグラする。それでも上の物に手を伸ばすと注意がそちらに向き足元はお留守。あわや転倒というわけだ。実際には事故になることなどほとんどないだろう。ただ、いつもうまくいくとも限らないのである。代わりに使えそうに見えても、やはり人が乗れるように安定性も形状も考慮して作られた専用の道具とは違うのである
▼70歳代の女性が足専用の家庭用電気マッサージ器を他の部分で使っていて死亡した事故が最近あったと聞き、そんな自らの過去の失敗を思い出した。マッサージ器はローラー型で、女性は布カバーを外し、首の下に置いて作動させていたところ服が巻き込まれ窒息死したという。この器具は「的場電機製作所」が1988年に販売を始めた「シェイプアップローラーⅡ」で、姉妹機も含め過去に同様の事故が発生しているため厚労省と同社が使用中止を呼び掛けていたそうだ
▼同じかは分からないが、昔、筆者の母も足用の似た器具を持っていた。布カバーこそ外していなかったものの、首にも使っていたと記憶にある。単純な構造ゆえいろいろ応用できたのだろう。何に付け用途外の使い方はしないに越したことはない。百科事典だって時に大けがの原因になるのだから。