アパグループ元谷一志社長「地場の企業と組み活性化も」

2018年09月03日 17時00分

 2020年の客室数10万室を目指し、全国各地で出店を加速するアパホテル。3大都市にとどまらず、道内でも札幌以外で5月に函館に初進出するなど、ブランディングの強化を推進している。アパグループの元谷一志社長は訪日外国人の増加に伴い、中国をはじめとする海外チェーンホテルとの競合を危惧。直営とフランチャイズ契約を軸にさらなる展開を図っている。(経済産業部・武山 勝宣)

 ―道内観光市場で注目しているのは。

 訪日外国人の増加を含めて、札幌の冬季五輪招致に合わせたインフラ投資がどうなるのか非常に関心がある。中でも丘珠空港のジェット化対応の動向は気にしている。

 札幌都心部に近く、新千歳空港との併用で発着増やLCCの就航なども期待できる。五輪招致がうまくいけば、今まで以上に海外から観光客がやってくる。ジェット機を飛ばして、アクセス向上を目指すべきだ。

 五輪は一つの指標だが、その後の遺産として、整備したインフラをどう生かすかが重要。新千歳空港は拡張しているが、丘珠空港のジェット化は避けて通れないのではないか。

 ―全国各地でアパホテルのチェーン化を推進している。

 今後、地場のホテルは後継者難などで、どこかのチェーンの傘下に入らないと、立ち行かなくなるときが早い段階でやってくると思う。外資系のホテルがどんどん進出している。今はラグジュアリー系が多いが、これからはビジネス系のホテルチェーンがやってくるだろう。

 ホテルの世界ランキングを見ると、中国チェーンが多数上位に入っている。知名度はまだないが、中国人をはじめとする訪日外国人旅行者をターゲットに、こうしたホテルが国内に進出してくると、そこに泊まる人は出てくるはずだ。

 そうなると、知名度のない独立系のホテルは淘汰(とうた)されていくのではないか。それだけにフランチャイズ契約で、国内のチェーンホテルと一緒にやっていくという動きが出てくるとみている。

 ―20年の客室数10万室を目標に掲げている。海外を含め、どのような展開を図るのか。

 3大都市を中心に直営で進めるが、地方に関してはフランチャイズ契約を中心とした展開になるだろう。無用な競争をしないというのが理由で、地場の有力な宿泊事業者と組むのは地域の活性化につながる。札幌は2000室を超える規模で店舗網として成り立ってきたが、地方都市はまだ少ない。地場の宿泊事業者と組んで出店したいと思っている。

 現在、国内のアパホテル以外に海外ではカナダと北米で、「コースト」というブランドで40店、5000室ほど運営している。全室に温水洗浄便座や50の大型テレビ、バスタブを入れるなど、日本の観光客が来ても安心して使ってもらえるような仕組みにしている。

 海外チェーンの拡大を考える上では、20年の東京五輪は一大見本市になる。訪日外国人にアパホテルを知ってもらい、そのサービスにも驚いてもらえれば。そうなったとき、ブランド力を生かして海外に進出できればいい。

 元谷 一志(もとや・いっし)1971年4月20日生まれ、石川県出身。95年学習院大経済学部卒。住友銀行を経て99年にアパホテルに入社し、2004年に専務、最高財務責任者、経営企画本部長、人事部長などを歴任。12年からアパグループの代表取締役社長を務めている。

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