ホテル開発が大通や駅前へ 老朽ビルの更新が契機

2018年09月10日 07時00分

 札幌市大通エリアで、更新期を迎えたビルをホテルに建て替える動きが目立ち始めた。商業施設から宿泊施設への転換が多く、2018年に入り判明分だけでも4件を数える。北海道新幹線の札幌駅ホーム位置が決まり、駅周辺で再開発計画が相次いでいることなどを背景に、道外不動産企業が古いビルを探る様子もうかがえる。薄野エリアで相次いでいるホテル開発の熱が大通、札幌駅エリアへと広がりをみせている。

 外国人観光客でにぎわう狸小路商店街周辺。至る所で解体現場が目に付く。WBFリゾート(本社・札幌)は、中央区南3条西2丁目にあるホテル「ロテル・ド・ロテル」を4月に取得。30年の営業に幕を閉じ、新たなブランドでのホテル運営に向け、施設の取り壊しを進めている。

 ホテルとして再生する動きがいくつか浮上してきた。南2条西1丁目の宮本ビルは、オフィス・商業テナントとして活用していたが、築57年で老朽化が進んでいることなどを理由に、7月に閉館した。土地と建物は、京阪電鉄不動産(本社・大阪)が取得。解体後にビジネスホテルの建設を検討する。

 札幌駅前通沿いで老舗菓子店の千秋庵本店が入っていたビルは取り壊され、更地となった。いちご地所(本社・東京)により、ホテルと店舗が入る複合施設に生まれ変わる。

 南1条西6丁目で築55年が経過した第2三谷ビルでは、テナントの退去が終わり、解体作業が始まった。アルファコート(本社・札幌)がホテルを新設する計画で、年内にも運営会社と契約を結び、19年春の本体着工を目指している。

解体が始まった第2三谷ビル。大通エリアで更新期を迎えたビルの建て替えが進む

 大通エリアには1972年の札幌五輪前後に建設されたビルが多く、未耐震や更新期を理由に建て替えを検討するオーナーは少なくない。ただ、投資には大きな費用がかかることから、地元のビル所有者が個人で開発するのは難しく、道外の大手不動産企業の手を借り、ホテルなどに建て替えるケースが目立っている。

 大通で築50年を数えるビルの地元オーナーは「耐震改修や防水工事とめじろ押しの状態。中小企業が建て替えできるレベルではない」と明かす。売却を含めて今後の活用を検討している。

 日本不動産研究所の担当者は、札幌駅周辺で多くの再開発計画の動きが出てきたことにより「これまで相次いだ薄野エリアでのホテル投資がJR札幌駅側へと移っている」と指摘。古いオフィスビルや商業施設を仕入れて、需要が高く投資リスクの少ないホテルへ転換する動きが今後も増えると予測する。

 中でもブランド力のあるホテル事業者は、大通エリア以北での出店を模索。「オフィス街が将来、観光拠点へと変わっていくのでは」と動向を注視している。


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