ブラックアウト

2018年09月20日 07時00分

 胆振東部地震が招いた全道停電では多くの人が困難に直面した。唯一の救いは冬でなかったこと。積雪期であれば命にかかわる深刻な事態に発展していたに違いない

 ▼ツイッターを眺めていて、それに絡んだこんな投稿に目が止まった。「電気がなければ薪ストーブを使えばいい」「アウトドア精神あふれる土地柄だから寒さに耐えられる」。荒唐無稽な話だが、他の地域の知識など案外その程度のものかもしれない。倉本聰氏が『北の国から』で描いた自給自足の生活を、いまだに続けていると信じる人が全国にはまだいるのだろう。もちろんそんなわけはない。電気がなければ生活も産業もまひ状態に陥るのは本道もほかの地域と同じである

 ▼産業といえば先週の末、1週遅れで始まった「さっぽろオータムフェスト」に行ってきた。ところが例年のように中国語が飛び交ってはいず、欧米人もほとんど見掛けない。来道観光客が激減しているのである。会場は歩けないほどの大盛況なだけに不思議な気がした。全道各地の観光地では閑古鳥が鳴いているという。道のまとめによると15日現在で宿泊予約キャンセルは94万人分以上。飲食費や交通費も含めた観光損失額は292億円に上るそうだ

 ▼おととい発表された道内基準地価も「商業地が27年ぶりに上昇」と今のところ景気がいいものの、電力不安が広がればこうした投資も波が引くように消えていこう。冬の停電リスクは今後あらゆることに影を落とす。いまさら『北の国から』の暮らしには戻れない。道民は電力の安定確保について真剣に考えねば。


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