北海道ガスは11日、今月営業運転を開始した石狩発電所を報道機関に公開した。液化天然ガス(LNG)を燃料とした自社電源を整備し、安定した電力供給体制を築くことが目的。発電時の廃熱を有効活用し、電力・ガス製造コストの抑制につなげる工夫も凝らしている。
石狩市新港中央4丁目の石狩LNG基地内に、総工費約100億円を投じて新設した高効率のガス発電所。発電容量は7万8000㌔㍗。リスクの分散などを考慮してガスエンジンを10台活用し、発電する仕組みとした。「1台がダウンしても、残りの9台は運転を継続できる。幅広い需要変動にも対応できる」と、前谷浩樹エネルギーサービス事業本部長は特長や利点を紹介した。
発電時の廃熱をLNG基地内でフル活用する。一般的に火力発電所は廃熱を海に放出しているが、発電時の廃熱を蒸気にして回収し、それをLNG基地内のガスの製造熱源として使うため、従来かかっていた燃料コストを最大で年間70%程度削減できるとしている。
1㌔㍗アワーの電気をつくる際に発生する二酸化炭素量は0・33㌔。他社と比べて半分の量で環境にも優しい。
北海道胆振東部地震発生時のガス供給状況に関しては、LNG基地内の製造・供給設備に被害がなく、発生後も通常通りガスを供給したと報告。「供給設備の低圧管を、耐震性・耐久性に優れたポリエチレン管に入れ替えるといった地震対策をとっていた。これにより、ガス漏えいは起きなかった」と説いた。
前谷本部長は「冬に起こっていたら、どうなったか分からない。今後も震災に備えた取り組みを進めたい」と話していた。