後志利別川の今金町住吉頭首工で10―12日、既存の魚道に石を組んで遡上(そじょう)効率を高めるフィールドワークが開かれた。流域生態研究所の妹尾優二所長の指導・監修の下、地域住民やコンサル業者らが石を組み、多様な流れを作り、魚類に優しい環境へと変えた。
魚類の生息環境を創出し、良好な河川空間を地域振興につなげようと2017年度から活動する後志利別川「エコ・UPプロジェクト」の一環。町民有志で組織する今金川の会、函館開建などが主催している。
3回目は長さ30・9m、幅1・8mのコンクリート魚道の段差7カ所を改良。一部を削り、後志利別川の石材を配置・角度を考え、隙間に生コンクリートを入れて固めながら約80cmの高さまで組んだ。石を運び込む作業などは北工建設(本社・せたな)が協力した。
大きさの異なる石をバランス良く組む作業で、参加者は「非常に良い経験をした」と満足した様子。妹尾所長は「水の力で石が組まさるイメージ。自然に近い状態にすることで、流れに多様性が生まれる」と説いた。
この石組み魚道は、取水時の5月から8月に使われる。昨年、製作した丸太などを使った手作り魚道と合わせて季節問わず、遊泳力が弱い魚たちも遡上しやすい多様な流れが生まれた。
秋山泰祐今金河川事務所長は「今後も魚道に改良を加えるなどし、魚類の生息環境をより良くしていきたい」と話していた。