アイヌ民族の伝統儀式「アシリチェプノミ」が20日、音更町の十勝エコロジーパーク内で開かれた。十勝川に遡上(そじょう)するサケを捕獲しカムイ(神)に感謝の祈りをささげるもの。昭和30年から60年にかけて開かれていたあきあじ祭の中で行ってきた。ここ30年近く途絶えていたが、十勝川と深く関わっていたアイヌ文化の伝承に向けて復活した。
十勝管内のアイヌ協会や池田、音更、幕別の3町などで構成する実行委員会の主催。帯広市内の建設業者や建設コンサルタント、環境保護団体、高校生ら地元住民などで構成する十勝川中流部市民協働会議もメンバーに加わり助成金の申請などを担当。当日も会場設営などを手伝った。
主催者を代表して来賓の勝井勝丸池田町長があいさつし「千代田堰堤で開かれたあきあじ祭は大きなイベントだった。音更と幕別、池田の3町で始めたかわまちづくり計画でソフト、ハードの整備を進めることで昔のように回復させたい」と話した。
カムイへの祈りをささげる儀式「カムイノミ」では、祭壇にサケをささげ、厳粛に自然からの恵みを祈った。このほか帯広カムイトウウポポ保存会による伝統舞踊を披露したり、子どもたちが伝統的な漁具を使った「マレク漁」を体験し、貴重なアイヌ文化に触れた。
北海道アイヌ協会理事で実行委員長を務めた小川哲也小川建設工業社長は「天気が良く思ったよりも人が来て良かった」と話し、来年以降も続けていきたい考えだ。