帯広を「まちやど」に まちなか遊休施設改修し宿泊利用

2018年10月30日 18時00分

 帯広市内にあるホテルヌプカを運営する十勝シティデザイン(帯広市西2条南10丁目20の3、坂口琴美社長)は、街を1つの宿に見立てて街ぐるみで宿泊客をもてなす「まちやど」の取り組みを始める。まちなかの遊休施設を客室にリノベーションして有効利用することで、宿泊客をまちなかに周遊させる流れを創出。地元住民の日常的な暮らしも体験してもらう。

 まちやどの思想を取り入れた代表的な事業は、東京都台東区谷中の「hanare」。空き家をリノベーションしたホテルだ。食事や入浴は、地元住民が普段利用するような定食屋や飲み屋、銭湯を利用してもらい、まちなかに宿泊客を周遊させる。人気スポットなどに詣でるような従来型の観光ではなく、その地域に住む人々の日常生活を楽しむことをコンテンツとするのが特徴だ。

握手する坂口社長(中央)と宮崎代表理事(右)

 ホテルヌプカは、閉店したホテルを改装して2016年にオープンした。同社はこれまでもホテル運営だけでなく、カフェバーやイベントスペースでの催しを通じて、中心市街地でのにぎわい創出に取り組んできた。まちやどの取り組みによって旅行客や地元住民が集まる流れをつくり、活性化を促進したい考えだ。

 全国でまちやどに取り組む団体で組織する、日本まちやど協会に26日付で加盟。同日、坂口社長やhanareの経営者で同協会の代表理事を務める宮崎晃吉氏らが記者会見した。

 具体的な取り組みとしては、まちやどのアイデアを募るため、有識者や地元住民が話し合う「まちやどLAB」を2カ月に1度程度開催。市内に映画館が1館しかないため、もっと多様な作品を観賞できるよう上映会を開く予定だ。

 将来的には、まちなかの遊休施設を生かして客室を増床する考え。市街地のビルは、2階以上の部屋が空いている場合が多いことから客室に改修。ホテルヌプカにチェックインカウンターを設ける。

 十勝シティデザイン創業者の柏尾哲哉氏は「ホテルヌプカは夏場、部屋が足りないこともある。宿泊基盤が整うことで観光の流れも見えてくる。新しいホテルを1つ建てるのは面白くない。違うやり方で表現することでそれ自体が人の流れを呼ぶ」と話す。物件の確保に向けて所有者との交渉を進めているという。

 このほか、まちなかでの馬車ツアーや温泉銭湯、夜型のお土産店舗、分散型の美術館設置なども構想している。(帯広)


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