幾つか国名を挙げる。「CHINA」「THAILAND」「VIETNAM」。若い人にとっては当たり前の表記だろう。ところがわれわれ年配の者には当初、大いに違和感があったのである。もうお分かりと思うがこれらの国名の前には「MADE IN」が付く
▼日本企業が安い労働力を求めてアジア地域に工場を移転し、そこでの生産品が一気に日本市場を席巻したのだった。1980年代ころからだろうか。出始めは「何だこれ、MADE IN CHINAって。中国製?大丈夫なのか」くらいのものだ。今では「JAPAN」を見つける方が難しい。アジア進出はグローバル経済の中で、コスト競争力を高める経営戦略の定石だった
▼そんな猛烈な勢いで広がった海外進出からまだ半世紀も経ていないのに、現在は外向きから内向きへ全く逆の流れも生じているらしい。時代の変化の速さには驚くばかりだが、昨今は外国人労働者に日本まで来てもらわねば立ち行かない産業が増えているのだという。2日、政府は国会に外国人労働者が単純労働に就労することも可能とする入管難民法改正案を提出した。今国会での成立を目指すそうだ。建設や介護、外食など人手不足が深刻な14業種を対象に門戸を開放するとのこと
▼結構な話である。ただ、永住もうたって受け入れ制度を整えるなら彼らの人生に重い責任を負うことも忘れてはならない。時代が変わったからといって放り出すことはできないのだ。議論を尽くし世界に誇れる「MADE IN JAPAN」の在留資格制度にしてもらいたい。