北海道は今月、暖気と寒気が一進一退を繰り返しながら本格的な冬に向かっていくらしい。どこへ行くにも神経を余計に使う雪道運転の季節がまたやってきた
▼この時期になると中島みゆきさんの歌『北の国の習い』(1990年)の一節を思い出す。「吹雪の夜に白い山を越えてみようよ/あんたの自慢の洒落た車で/凍るカーブは鏡のように/気取り忘れた顔を映し出す/立ち往生の吹きだまり凍って死ぬかい」。かなり物騒な歌詞だが道民なら違和感はないだろう。ただ実際は吹きだまりで立ち往生などせず快適に走れるよう、道路除雪が丁寧に行われている。本紙でも冬道の安全を守る除雪業者の記事が連日紙面をにぎわせ始めた
▼中から幾つか声を拾ってみたい。「除雪は地域に密着した業務で、地域のライフライン確保を担う重要な仕事」(小谷寿広宗谷道路環境事業協同組合理事長)。「官民一体となって安全・安心な市民生活を守れるよう努力をしていこう」(本田秀樹釧路市除雪連絡協議会長)。「市民の道はわれわれが守るという熱い気持ちで業務に精進する」(窪田憲一除雪センター長・中定建設工業)。「走り慣れた道が冬でも安全に通行できるのは皆さんの頑張りのおかげ」(宮武利幸室蘭建管浦河出張所長)
▼大雪は洪水や土砂崩れといった災害と変わらない。それを常に監視し状況に応じて出動。啓開に当たる。楽な仕事ではない。一見やすやすとこなしているように見えるのは、蓄積した知識や経験、技術の成せる技だ。縁の下の力持ちたちの活躍はもっと一般に知られてよい。