おとといのことである。JR札幌駅横の「ヨドバシカメラ」に立ち寄ると、中国人とおぼしき観光客のグループが買い物を楽しんでいた。おぼしき、というのは服装や言葉、立ち居振る舞いからそう見えたということである
▼ほとんどの人が原色のブランド物防寒着を着込み、身ぶり手ぶりは大きく、はたで聞くと怒っているかのような大声で話していた。冷やかすような気持ちはない。単に特徴を挙げたまでである。広大な土地に14億人が暮らす中国を一つの切り口で語る愚は重々承知しているつもりだが、それにしてもずいぶんな違いでないか。知内町の建設現場で働いていた中国人11人が不法在留などの疑いで道警に逮捕された。同じ現場で働いていたやはり中国人47人も、逃走して行方不明になっているという
▼たぶん彼らは派手な原色のブランド物など、身に着けていなかったに違いない。目立つ街中では声高に話すこともなかったろう。中国は極端な格差社会といわれるが、その一端を見る思いである。NHKの報道によると、現場にいた58人は千葉県内の同じ業者から派遣されてきたらしい。在留カードも偽造され、「短期滞在」で入国したのに就業可能な「定住者」となっていたそうだ。安い労働力を集め、ひともうけをたくらむ闇のルートがあるのだろう
▼国土交通省は審議中の入管難民法改正案に関連し、建設業の賃金や労務管理が適正か監視する機関を設ける方針を固めたと聞く。雇う側も雇われる側も違法は許されない。出稼ぎ者だって「ヨドバシ」で堂々と買い物がしたいはずである。