道東2018 取材メモ (2)北方領土返還は国の悲願

2018年12月23日 18時00分

 隣接地域振興も大きな課題に

 2018年の根室管内、とりわけ北方領土隣接地域は、戦後70年にわたる北方領土問題が大きく動きだした年だった。しかし外交は国家間で進めるものであり、当事者の根室地域は日ロ共同経済活動や領土問題の進展を見守る状態が続いた。

 領土問題が大きく進展したのは9月、ロシア・ウラジオストクで開かれた経済フォーラムでプーチン大統領が安倍晋三首相に前提条件なしで平和条約締結を提案。これを受け、安倍首相は平和条約締結後の歯舞、色丹2島の引き渡しを明記した1956年の日ソ共同宣言に基づいて交渉を加速させることで合意した。

 事態が動き始める中、北方領土返還運動原点の地である根室市の石垣雅敏市長は、12月の定例市議会で「今後の進展に大きく期待している。引き続き外交方針を支持していく考えだ」と示した。

 一方、北方四島における共同経済活動では、10月に通算3回目となる官民調査団が現地に出発。観光・水産・環境などの分野においてロシア側担当者らと意見交換し、局長級や次官級の作業部会で議論を深めるとした。

 しかし、これまで共同経済活動の内容は明らかにされておらず、判明しているのは、もともと根室市が北洋サケ・マス対策として進めていた水産研究所の種苗生産機能を分離し、隣接地に同機能を増大させた施設を建設するという事業だけだ。

 北方領土の返還は根室地域だけではなく、国としての悲願だ。石垣市長は「外交交渉を推し進めるのは国民世論だ。これからも返還要求運動を展開していく」と訴え、広く啓発活動を浸透させる重要性を強調した。

 また、隣接地域の振興も大きな課題だ。共同経済活動と併せて活性化が進むような施策を期待したい。(釧路支社・石黒 俊太)


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