インドネシアの噴火津波

2018年12月26日 07時00分

 温泉へ行き、満杯の浴槽に一気に身を沈めると湯が勢いよくあふれ出す。自分の作った波紋が向こう側の縁まで静かに広がっていく。のんびりとしたひとときでないか

 ▼ところが実はこれ、噴火による火山の崩壊で津波が発生する仕組みと同じ。規模と場所が違えばこれほど悲惨な災害になるのである。インドネシア政府が24日、22日に発生した津波の原因をアナク・クラカタウ山の噴火によるものと断定したそうだ。クラカタウ山はスマトラ島とジャワ島に挟まれたスンダ海峡のほぼ真ん中にある。火山活動によって海底で巨大な地すべりが起き、それが膨大な量の海水を持ち上げたらしい。津波は音速に近い速さで進むため一瞬にして両島沿岸に達し、人々や家屋を飲み込んだ

 ▼噴火はいつものことで、大きな揺れのような前触れもなかったため住民らは水が来るまで津波に気付かなかったという。死者は370人以上、行方不明者も120人を超えているそうだ。一人でも多く無事が確認されるといいのだが。噴火を原因とする津波は少ない。ただ日本でも1640年の駒ヶ岳(北海道)で700人以上、1741年の渡島大島(同)で1467人、1792年の雲仙岳(長崎県)で1万5000人の死者が出ている。いずれも噴火で崩れた山体が海に流れ込み、津波を生み出したものだ

 ▼現在は危険がないとはいえ、インドネシアの津波も決して対岸の火事でないということだろう。日本も火山国である。活火山は気持ちの良い温泉を届けてくれるが、ときに信じ難い災厄も運んでくるから油断ならない。


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