地域の鉄道遺産を生かし、活性化につなげたい―。
標津町内の有志を中心に構成する標津転車台保存会は23日、町内に残る旧JR標津線根室標津駅構内の転車台周辺でクリスマスイベントを開いた。来場した約300人が3連休の中日、地域を支えたSLの歴史に思いをはせながら、屋外でのひとときを楽しんだ。
同会は2017年3月、200mほど離れた町文化ホール前に保存されていたC11―224を現在地に移動するためのクラウドファンディング開始に合わせて設立。会長を篠田興業(標津)の篠田静男社長が務め、16人がメンバーになっている。
この日は同会がSLの乗車体験やコラボパン、Tシャツやマグカップなどのグッズを販売。町内外の団体や福祉事業所がうどんやクッキーなどの出店を開き、ダンスも披露した。町の補助も受けてそろえた、イルミネーションの点灯式でクライマックスを迎えた。
サンタクロース姿の篠田さんは「7回目のイベント。今までで一番多く人を乗せて走りました。1日から夜間に続けているイルミネーションにも多くの人が足を運んでくれている」と回を重ねるごとに手応えを感じている様子だった。
今やイベントに欠かせない役割を果たしているのが、SLに圧力計などの機器を再整備するなど定期的にメンテナンスを続け、この日は機関士役を務めた釧路工業高等専門学校創造工学科1年生の和田真澄さん。
「このところ道内各地でも廃線が相次いでいる。悲しいことだが、こうして再び地域の役に立つ可能性を秘めている。廃線で終わりにしてはならないと思う」と話す。
同会では、今後も町内外との連携も含めたイベント開催を企画している。また隣町の中標津に保存されている車両を念頭に、クラウドファンディングを活用して転車台付近に移動させて2台が連なって走る姿の実現や、構内のレールを再整備して最盛期の様子を再現することなどの構想を思い描いている。地域が一体となった取り組みの今後の展開がますます楽しみだ。