年賀状じまい

2019年01月09日 07時00分

 年賀状を送るのはこれでおしまいにします―との意思を伝える、いわゆる「年賀状じまい」が静かに広がっているという。平成の終わりに合わせ今回実施に踏み切った、という人も多いようだ。筆者も「本年をもちまして年始のご挨拶を控えさせていただきます」と記された年賀状を何通かもらった

 ▼中止する理由はお金や時間の負担軽減、虚礼の廃止、SNSが普及したためネットで十分。気持ちはよく理解できる。一方で今も続けている人のほとんどは、相手を思い労力を掛けるのも礼儀のうちと考えている様子。これもまたもっともなことである。それはそれとして、そもそも年賀状がこれだけ社会に浸透したのは人々の手抜きが原因だったらしい

 ▼明治も半ばまでは相手宅を訪問する年始回りが常識。郵便で済ませるなどあるまじき非礼とされていたそうだ。皆が一斉に移動するものだからちまたには人があふれ、行く方も迎える方も大忙し。土産物、酒、食事と双方の負担もばかにならなかったのだとか。ところが日清、日露の戦争で訪問を遠慮する風潮が生まれ、あいさつにはがきが使われるようになる。いったん便利さを知った人々の心変わりは早かったという。本欄に度々ご登場いただく作家岡本綺堂の随想から学んだことである

 ▼年賀はがきの発行枚数はピークの2000年頃に40億枚を超えていたが、19年用は25億枚にとどまった。寂しい気もするがこれが現実。まあ、驚くこともあるまい。年始のあいさつも時代とともに、より楽な方に流れていくものなのだろう。今も昔も変わりはない。


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