米国の経済誌『フォーブス』が先週末、Web版で興味深い調査結果を配信した。「世界で最も賢い国」25カ国をランキング形式で紹介するものである。気になるのはやはり日本だが、なんと1位を獲得。2位以下はスイス、中国、米国、オランダと続く
▼ノーベル賞の受賞数、IQ(知能指数)のスコア、学校のテスト成績をそれぞれ過去、現在、未来の指標とし、それらを総合することで順位を決めているという。この手の調査は指標によって差が出るため参考程度にしておくのが賢明だろう。ただ自国の最上位は素直に喜びたい。日本はノーベル賞とIQが6位、学校が5位。飛び抜けて優れた分野はないものの、総合力の高さで1位となった。いかにも日本らしい形でないか
▼分野別の1位はノーベル賞が米国、IQと学校は共にシンガポール。米国は社会に大きな知的格差があることを示すIQの28位が伸び悩みの原因だ。シンガポールはノーベル賞の73位が足を引っ張った。とはいえ未来は有望である。今週末は大学入試センター試験。いよいよ本格的な受験シーズンに突入である。「最も賢い国」を背負って立つ若者たちは最後の追い込みに入っていよう。健闘を祈りたい
▼ところでこの国の懸念はその若者たちにでなく政府にある。新年度予算案も大学の重点は資源の集中と経費削減で、基礎研究や教育基盤の充実は二の次。ノーベル医学生理学賞の本庶佑氏は以前、「このままではノーベル賞を出せない国になる」と警鐘を鳴らしていた。政府が指標の一つなら日本は多分1位でなかったろう。