札幌中央・東両労基署の18年労災発生状況速報値
札幌中央・東両労基署は、2018年の労災発生状況(休業4日以上)速報値をまとめた。建設業の被災者は前年を8人下回る265人で、このうち死亡は2人少ない2人。事故型別では、墜落・転落が82人で最多となった。冬期間の屋根での雪下ろし作業では親綱を設置した上で安全帯を使用するなど、墜落防止措置を徹底するよう呼び掛けている。
■中央労基署
中央労基署管内の建設業は、休業災が前年同期と同数の114人。うち死亡は2人減の1人となった。
工種別では土木が28人、建築が死亡1人を含む36人、木造建築が15人、設備が35人という内訳だ。
同署の富塚豊安全衛生課長は「全体は減っているが墜落・転落、転倒が依然多い傾向が続いている」と分析。今後は「雪・強風時の防止対策を徹底し、一酸化炭素中毒に注意して」と呼び掛ける。
全産業の被災者は20人減の923人にとどまり、うち死亡も4人で5人減っている。主な業種を見ると運輸交通業が同数の156人、卸売・小売業が19人増の154人、製造業が14人減の85人などとなっている。死亡は運輸交通業、貨物取扱業、清掃業で1人ずつ発生した。
12月単月の被災者は、建設業が前年同月と同数の11人でいずれも休業災。工種別では土木が2人、建築4人、木造建築1人、設備4人という内訳になっている。
建築では、足場の解体中に足場ブレースが落下し、保護帽にあたる事故が発生。頸椎(けいつい)を捻挫したが、不休災害となった。
富塚課長は「重篤な災害になる危険性があった。足場解体作業中は関係者以外立ち入りを禁止して」などと求めている。
■東労基署
東労基署管内の18年建設業労災発生状況は、前年同期を8人下回る151人となった。このうち死亡災は同数の1人。土木が48人、建築が死亡1人を含む72人、木造建築が6人、設備が25人という内訳だ。
同署の渡辺哲也安全衛生課長は「8件減少したが、建設業は全業種の中でも多い傾向。墜落・転落では足場や手すり、安全帯の使用を徹底して」と要請。「北海道は冬季の環境が厳しいため、よりしっかりと対策を」と求めている。
全産業では、36人増の1219人が被災し、うち死亡災は8人で4人増加。主な業種を見ると製造業は31人増の217人(うち死亡2人)、道路貨物運送業は26人減の194人(うち死亡3人)、卸売・小売業は2人減の201人に上った。
12月単月で見ると、建設業の被災者は前年同月比2人減の16人で、工種別では土木、建築各5人、木造建築、設備各3人。事故の型別では墜落・転落5人、激突、動作の反動・無理な動作、転倒、挟まれ・巻き込まれ各2人、飛来・落下、激突され、切れ・こすれが各1という内訳だ。
土木では、橋梁補修で使用したつり足場を解体中、バランスを崩して河川へ約10m転落。5日間の休業見込みとなった。
渡辺課長は「河川でなかったら、重篤な災害になっていた。安全帯使用の徹底が必要」と指摘。フルハーネス型安全帯の特別教育規定の改正が2月1日から適用になることから、いま一度準備を呼び掛けている。