179市町村を網羅 道銀などが簡易産業連関表を開発

2019年02月01日 12時00分

 北海道銀行と道銀地域総合研究所、北海道立総合研究機構は、地域経済の構造や波及効果を分析できる「市町村別簡易産業連関表」を共同開発した。道内179市町村の経済循環を示す見取り図。複数の市町村を合わせて分析することもでき、観光振興を目的とした広域連携の取り組みや、廃棄物処理に向けた広域連合の施設整備などの費用対効果を調べられる。従来型の調査方法よりも短期で安価に分析できるため、自治体のほか商工会議所や観光協会など幅広く使ってもらいたい意向だ。

 産業連関表は、国内で1年間に行われた経済活動による財・サービスの産業間取引を一つの行列に示した統計表。生産や販売の構造を産業別に見ることができ、経済構造の把握や波及効果の計算に利用されている。

 現状、道内の産業連関表は北海道開発局作成の「北海道全域」と「道内6圏域」で、市町村単位で作成しているのは札幌と釧路のみ。費用と時間がかかるため、中小規模の自治体が地域の経済活動を細かく調べるのは難しかった。

 道銀など3者は約2年半をかけ、国勢調査や経済センサスなど既存の統計を用いた「市町村別簡易産業連関表」を開発。道内179市町村を網羅するほか、近隣の市町村を合わせたり振興局単位でも作成できる。

 開発に当たっては恵庭市に協力してもらい、道の駅「花ロードえにわ」の経済波及効果を推計した。国道36号沿いにあり、年間100万人余りが利用する施設だ。開発局の2011年北海道産業連関表をベースに、独自の連関表として33部門に分類。自給率(地元産以外の原材料などを除いた値)を加味しながら、雇用や税収への効果を調べた。

 花ロードえにわの17年度売上額は6億2200万円で、うち市内産業への直接効果は3億8100万円と推計した。食材を供給する農家の仕入れ増や、施設で働く人が地元家電店で買い物するなど、波及効果を表す「生産誘発額」は5億500万円で、直接効果の1・32倍。雇用誘発者数は88人、税収効果は1200万円となった。

 経済波及効果5億500万円は、恵庭市の法人市民税収(約5億円)やたばこ税収入(約4億6000万円)に匹敵する。道銀総研は「地元への貢献は極めて大きく、隣接地で計画している観光拠点整備によって、今後も一層の経済波及効果が期待できる」とまとめた。

 市町村別簡易産業連関表の使い方は、インフラ整備の費用対効果を算出したり、企業誘致に伴う補助金の妥当性を判断したりなど多岐にわたる。路線網や工場、企業の撤退といった経済損失を計る上でも活用可能だ。費用は調査案件の規模によるが、従来の方法より3分の1程度に抑えられるとみている。

 道銀総研の石水隆取締役常務執行役員は「市町村の施策づくりなどに役立つ分析システム。道内の各地域を元気にしたくて開発した。ぜひ使ってほしい」と話している。


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