厚生労働省は、水道管や浄水施設を対象にした2017年度末の耐震化状況をまとめた。道内の基幹管路耐震適合率は前年度比2.2ポイント上昇の43.5%だった。全国平均を4.2ポイント上回ったものの、事業主体別では耐震化の進展に大きな開きがあった。厚労省は引き続き、水道事業者に対し、技術的、財政的な支援を通じて耐震性の向上を図る。
取水施設から浄水施設に水を引き入れる導水管、浄水施設から配水施設に水を送る送水管、配水施設から給水区域に水を送る配水本管を対象に調査した。
道内の基幹管路の総延長は5069・4㌔。このうち地震の際でも継ぎ目の接合部分が離脱しない耐震管は1315・6㌔で、全体に占める割合は26%だった。これに、耐震管ではないが、敷設されている地盤が固いなどで耐震性があるとした管路889・3㌔を合わせた道内の耐震適合率は43.5%だった。全国の都道府県で12番目の高さとなった。
事業主体別に見ると、中空知広域水道企業団が97.8%と最も高かった。三笠79.1%、室蘭69.4%、恵庭64.2%、旭川と苫小牧がそれぞれ63.1%などと耐震適合率が6割を超えた一方で、札幌は39.5%、釧路は38.5%、北見は26.1%、岩見沢は19%と、地域間で格差が生じている。
浄水施設の耐震化率は前年度から0.1ポイント増の22%。施設の全面更新時に耐震化を実施する場合が多いため進んでいない。配水池は47.5%で耐震診断の精度が高まったことや集計方法の見直しにより1.3ポイント低下した。
国は、大規模地震の発生確率増加や異常気象の頻発・激甚化を踏まえて18年12月に見直した国土強靱(きょうじん)化基本計画で基幹管路の耐震適合率を22年度末までに50%に引き上げ、耐震化のペースを1・5倍に加速させるとした。また、重要度の高い浄水場の耐震化率は3%、配水場は4%引き上げるとしている。厚労省は、建設事業費の負担軽減などの財政的支援や、計画的な耐震化実施に向けた手引の整備など技術的支援を通じて、耐震化を後押しする。