全国生コンクリート工業組合連合会北海道地区本部は12日、2018年度の「新技術普及講習および工場技術者研修会」を札幌ガーデンパレスで開いた。全道各地から生コン会社の工場長ら約90人が参加。18年7月に施行された労働安全衛生法の一部改正により、原料のポルトランドセメントが危険な化学物質に追加されたことを受け、ユーザーに対するSDS(安全データシート)の交付やリスクアセスメントの実施について理解を深めた。
東京環境経営研究所の魚谷康行執行理事会会長が「労働安全衛生法改正による化学物質リスクアセスメントの義務化」と題して講演。安衛法改正で、ポルトランドセメントが危険・有害性のある化学物質に加わり、リスクアセスメントの実施と生コン供給先に対するSDSの交付が義務化されたことを説明した。
リスクアセスメントの進め方では、第1段階としてセメントメーカーから提供されるSDSを基に、記載されているセメントの危険性や有害性を把握。そこから健康や安全面のリスクを見積もり、リスク低減の措置を検討する。第4段階としてリスク低減策を施し、その結果を従業員に周知するまでが一連の流れだ。
SDSの記載項目で着眼すべき部分として、2番の危険有害性の要約(GHS分類、ラベル要素)と8番のばく露防止および保護措置(ばく露限界値、保護具など)、15番の適用法令(安衛法、化管法、消防法、毒劇法など)を挙げた。
魚谷会長は「ポルトランドセメントは爆発や火災の危険性がなく、環境への有害性もない。注意するのは健康有害性のみ。SDS記載項目の2番を中心に情報を整理し、リスクを見積もればよい」と話した。
メインテーマとなるリスクの見積もりでは、厚生労働省がホームページで提供している支援システム「コントロール・バンディング」を紹介した。必要な情報を入力するとリスクレベルを教えてくれるほか、それに応じた対策シートが得られる仕組みだ。「コントロール・バンディングはリスクアセスメント実施の証明となるほか、従業員への周知にも役立てられる」と説いた。
魚谷会長は「ポルトランドセメントは生コン製造時に40%ほど使うので、生コンの譲渡提供先(ゼネコン)に対してもSDSが必要になる。まだ対策をしていない生コン会社は、全生連のシート様式を使えばよい」と助言した。
このほか、東京エスオーシーの伊藤司技術本部長が「生コンプラントにおける計量器の検査、産業廃棄物の処理・公害防止」と題して講演した。