木質バイオマスの需要が増す中、日高管内の林地未利用材や河畔の支障木を活用して安定した原料供給を図ろうと、日高振興局と木質バイオマスの需給者がタッグを組んだ。河畔林の利用促進を盛り込むのは道内初。地元林業者の安定した仕事量確保や災害に強い地域づくりにもつながる。松浦英則振興局長は「一石二鳥にも三鳥にもなる。日高管内から全道に広めたい」と意欲を示した。
近年の異常気象で、管内では樹木が川をせき止めることによる洪水や流木の被害が多発。行政側は厳しい財政事情から対応が難しく、振興局が解決策を検討していた。
林地未利用材の利用促進に取り組んできたものの、河畔林を取り込むにはさらなる需給体制が必要。そこで、チップを製造する森林組合などで組織した日高地域木質バイオマス資源利用推進協議会、木質バイオマス発電で林地残材の積極活用を図っている王子木材緑化に打診し、協定が実現した。
同社は3年前から、江別市内で木質バイオマス発電を展開。年間で消費する12万BD㌧(乾燥重量)のバイオマスのうち、日高・胆振地域で半分を供給する。
19日、日高合同庁舎での調印式に3者の代表が臨み、協定書に署名した。
大原寬信社長は原料の安定供給に加え、「河畔林の計画的伐採に協力できる」と強調。協議会長の小野哲弘ひだか南森林組合長は「安定した仕事量が確保でき、林業のさらなる活性化につながる」と期待する。(苫小牧)