クロスワードパズルが好きで、日曜版の新聞や雑誌に載っているのを見ると手を付けずにいられない。特に縦と横の鍵がそれぞれ100問以上あるような大きなパズルは、チャレンジ精神も刺激され楽しさに思わず小躍りしたくなる
▼おもむろに鉛筆を取り出して、鍵に首をひねり升目の数も考慮しながら一つ一つ空白を埋めていく。こうなると家人から何を言われても上の空。しばらくは升目とのにらめっこが続く。最後に指定された升の文字を順に並べ、答えの言葉を導き出す。頭をフル回転させて多くの鍵を解き、そこまでたどり着くのがこのパズルの醍醐味(だいごみ)である。さて、こちらもパズルのようにかなり入り組んだ難問だが、鍵がこれだけでは答えに到達するには少な過ぎたのでないか
▼先の日曜日に行われた沖縄の県民投票のことである。鍵となる賛否を問う設問はただ一つ。「普天間飛行場の代替施設として国が名護市辺野古に計画している米軍基地建設のための埋立てについて」だった。平穏な暮らしを望む県民の願いはもとより、普天間を一刻も早く廃止する具体案、地域経済の振興策、北東アジアの軍事情勢、日米安保―。どの鍵が欠けても沖縄の過重な米軍基地問題に答えは出ないのが現実だろう
▼今回は全資格者の4分の1が反対を表明した。重い結果である。ただ、この鍵には移設を止める法的拘束力はない。これではせっかくの投票が逆に不満と分断の呼び水になってしまわないか。苦しくとも一つ一つ鍵を解いていく以外に、答えを導き出す方法はないのかもしれない。