旭川開建が建設を進めてきたサンルダムが事業着手から26年の歳月を経て完成し、17日に関係者約270人が竣工式に集い念願の完成を祝った。洪水・渇水対策や水道・発電利用と多分野で地域の生活を支えるとともに、サクラマスの産卵に全国最大規模の魚道7㌔を備え環境にも配慮した、最北の直轄ダムが工事凍結などを経て待望の供用を迎えた。
サンルダムは、1988年に名寄川の支川サンル川で実施計画調査に入り、93年から事業着手した。本体は構造的に安定し材料の自由度や施工の効率性が高い台形CSGダム形式を採用。2013年度から工事が本格化した。しかし、09年度の民主党政権下で事業検証が必要とされ、本体工事が凍結された。
解除を求める意見書が流域全11市町村議会で議決されるなど地域一丸の後押しで事業継続となった。規模は堤高46m、堤頂長350m、堤体積49万5000m³。総貯水容量は5720万m³で、過去に56水害など度重なる水害被害に見舞われてきた天塩川流域の生活を守り、水道用水や発電なども担う。総事業費は591億円。
竣工式に先立ち、施工を担った大成建設・熊谷組・岩倉建設共同体による神事が下川神社で執り行われ、受発注者や地権者ら関係者は無事の完成を祝し、供用後の安定運用を願った。
旭川開建が下川町公民館で開いた竣工式には関係者約270人が出席。主催者を代表し樺澤孝人部長は「天塩川下流域全体の洪水に対する安全度を高め、安定した生活用水や電力の供給など地域の産業や生活に大きく貢献するもの」と地域活性化への寄与を期待。事業者を代表し工藤彰三国土交通大臣政務官は、事前防災の必要性が高まる中、台形CSGや環境配慮の魚道など「優れた技術を世界に示す先駆けとなる」と評価した。
この後、流域の市町村長や国会議員、「しもかわ珊瑠湖」の命名者を代表した地元小中学生がくす玉を割り喜びを分かち合った。