釧路の働き手確保や人口確保に向けてUIJターンや移住を促進したいなら、若者向けの情報発信力強化が欠かせない―。
UIJターンを実現した20―30代の男女3人は13日、釧路市役所で蝦名大也市長との意見交換に臨み、自らの経験を踏まえ釧路での就職や生活に関するさまざまな情報が不足していると訴えた。
参加したのは釧路市出身の成田のぞみさん(Uターン)、白糠町出身の赤岩佑紀さん(Jターン)、横浜出身の広沢瑞保さん(Iターン)。
3人はいずれも首都圏の大学を卒業しそのまま就職したが、現在は釧路市内で働いている。
結婚に伴って移住してきたという広沢さんは「北海道なので雪は多いと思っていたが、少なくて驚いた。住んでみたら暮らしやすい。釧路での生活に関する情報をもっと発信できたら、首都圏からも移住しやすくなる」と話した。
成田さんは「首都圏では1時間以上も満員電車で通勤しなければならないが、釧路の通勤時間は車で15分ほど。自分の時間を持てるし、夏は涼しくご飯もおいしい。釧路はストレスフリー」と釧路で働く利点を強調。
赤岩さんは「戻ってきたときに安心感があった。東京からしたら寒いかもしれないが、寒さも懐かしかった」と振り返った。
ただ3人は口々に、釧路で就職したいと思っても釧路の企業はホームページすら開設していないところが多い上、首都圏では合同説明会もないなど圧倒的に情報が不足していると指摘し、「そもそも大卒の求人が少ない」「既卒の募集状況が分からなかった」との不満も漏らした。
情報発信に関して成田さんと赤岩さんは、釧路はおいしい店などの生活情報も含めてまだまだ口コミやチラシといった媒体が主流だが、自分たちはインスタグラムやツイッターを使うケースが多いのでこれらの積極活用をと要請。
広沢さんは、釧路では満員電車のストレスからは解放されたが、車社会の上に慣れない冬道も走らなければならないので、移住の際には運転がハードルになりかねないと危惧。「ペーパードライバー講習への補助制度があればIターンを呼び込むアピールポイントになる」と提案した。
蝦名市長は、安全安心な生活に直結する医療機関の充実や地震・津波対策はしっかり進め、教育環境の整備にも力を入れていくと表明。「釧路は国や道の出先機関があるが、単身で来る人が多い。子どもの教育に不安があるから」と理由を説明すると、3人も「教育の選択肢が増えるのはいいこと」「教育環境が充実すれば若者が増える」と賛同していた。(釧路)