春分の日を挟む今週は小学校の卒業式ウイーク。全道各地のほとんどの小学校で、きょうまでに式が行われる。「卒業の子の肩にある師の手かな」皆谷露子。入学時には子どもの頭に置かれていた手も、今は肩の上だ。6年間で背も伸びたが心も成長した。送り出す先生としては万感胸に迫る思いだろう
▼子や孫が健やかに育つのを楽しみに見守ってきた親や祖父母もそれは同じ。心配事もたくさんあったはずである。中学生になると子どもたちは競うように大人への階段を駆け上る。生きていく中で壁にぶつかることも多くなろう。心配の種は尽きない。そこで中学入学までのこの貴重な端境期に読むのにぴったりの、1冊の児童書を紹介したい
▼それは『メシが食える大人になる! よのなかルールブック』(高濱正伸監修、日本図書センター)である。「メシが食える大人」とは少々生々しいが、要は生きる力を備え自立した大人という意味。簡単な言葉とイラストで、人生を生き抜く50の知恵を教えている。ルール1はこう。「いいことを言うよりも、よい行動をとる」。ごみのポイ捨てを口で批判するだけの人より、さっと拾う人の方が世の中で認められる。ルール11「話を聞くときは、ことばではなく相手の心にこそ耳をすます」。言葉通りでないことも多いのである
▼ルール41「合わない人がいるのは『よのなかの当たり前』だと知る」。世の中は合わない人だらけと知っていれば楽に生きられる。児童書だが小学校を卒業してうん十年の人も、自分は「メシが食える大人」か確かめてみるといい。