日本の若者の政治離れが問題になって久しい。次代を担う者たちが政治に無関心では、国政の停滞は免れないのだから事は深刻である
▼英フィナンシャルタイムズのデイヴィッド・ピリング元東京支局長が社会学者古市憲寿氏にそのあたりの事情を尋ねると、こんな答えが返ってきたそうだ。「一緒に生産的なことをできそうな仲間を見つけて、生産的なことをすればいい」(『日本―喪失と再起の物語』早川書房)。社会のために積極的に行動する意志はあるものの、政治はお呼びでないというわけだ。日本財団(東京・笹川陽平会長)が先日発表した国会改革についての18歳意識調査も、それを裏付ける結果だった
▼「国会は国民生活の向上に役立っていると思うか」との問いに、30%が「役立っていない」と答えたのである。「役立っている」は20・9%。ちなみに残りの49・1%は「わからない」。意をくむとつまり「実感できない」ということだろう。この結果を見た政治家は頭を抱えているのでないか。そもそも国会での議論を知らないのでは、との疑問も浮かぶがさにあらず。56・3%は多少なりとも知っていた。その上で54・8%が有意義な政策論議の場になっていないと考えているのである
▼その理由は「議論がかみ合っていない」「国民の関心と乖離(かいり)がある」「パフォーマンスが過ぎる」等々。若者をことさら持ち上げる気もないが、そんな国会に役立つことなどできないと考えるのはある意味当然だろう。問題は若者の政治離れでなく、政治家の浮世離れにあるのかもしれない。