建設業も超大型連休 現場の休暇確保推進

2019年04月27日 07時00分

工程遅れや技能者収入に不安

 関連法が4月から順次施行され、働き方改革元年といえる2019年。試金石ともなる超大型連休が、きょう27日から始まる。大手ゼネコン、道内大手など、建設業は暦通りで休業となる企業がほとんど。建設現場も公共土木を中心に本格作業前で、休暇の確保に動くところが多い。ただ中小企業や技能者単位になるほど、経営や生活に直結する問題が浮上し、手放しで喜べない現実もあり、浸透には構造を見据えた対策も求められそうだ。

 令和改元に合わせ10連休となったことしのゴールデンウイーク。鹿島、大成建設など大手ゼネコンは、内勤・現場作業所ともに、27日から5月6日まで暦通り連続10日間と定める企業が大半。作業所は現場判断で稼働する場合もあるが、前後での有給休暇取得を推奨している。

 大成建設は、24年の時間外労働上限規制の適用開始に向け残業削減を推進していて「施工部門を含め全社員で4週8休以上を目指す」(広報室)と話し、連休前後の有給取得を促す。有給取得の義務付けに合わせ年5日の計画年休も設定しているという。

 道内建設業は、内勤では暦通り連休の企業がほとんど。現場は祝日を稼働日とするところも多いが、大手を中心に判断は責任者に委ね、有給取得の推進を図っている。

 丸彦渡辺建設の工事担当幹部は「(時期的に)土木現場は資材搬入前。現場も連休を設定しやすい」と話し、道北大手は「所長判断だが本格着工前で、多くは暦通りの休みが期待できる」と、大型連休を歓迎した。

 宮坂建設工業は「内勤、現場ともに基本は10連休。4週8休を目標とし、連休も世の中に合わせたい」(総務部)とし、岩田地崎建設は、5月1日の改元を現場を含む全事業所の閉所日とし前後の有給所得を促すなど、休日確保策に生かしている。

 一方、現場責任者からは「現場は天候に左右されやすい。これほど長いと工程や工期に影響するリスクはある」との指摘もある。

 工程の遅延はコストに直結するため、中小建設業を中心に、超大型連休の影響を不安視する声もあるが「資材供給もストップ。動かしようがない」との声も上がる。

 その上、工期の遅れを取り戻すには人繰りが重要だが、担い手不足は表面化している。日給中心の現場技能者は、稼働日数が多いほど収入が増えるため、休みの増加は死活問題。雇う側が、休みの分まで担保できるほど業界は潤ってはいない。専門工事業幹部は「休みをクリアし事業を成り立たせるのは難しい。建前が現実と懸け離れ先行している」と本音を漏らす。

 「休日の増加は技術者など月給制社員には良い取り組みだが、日給で働く技能者にとってはどうか」。建設業経営者の一人は「日給の従事者が月給になれば、みな喜んで休日を享受する。担い手確保を続けるには、それが可能になる環境づくりが必要」とする。総論賛成の休日確保だが、浸透には建設業が収益を生み出す現場づくりが求められている。


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