縄文人全ゲノム解読

2019年05月17日 09時00分

 縄文時代の生活と聞いて思い浮かべるのはどんな情景だろう。今40歳代以上の人であれば、20―30人の親族を中心とした小集団が狩猟をしながら細々と暮らす姿でないか。これが30歳代以下だと、大きな集団が一つの地域で共同生活を営む様子を想像する人も多いはず

 ▼この違いは、ここ20年で日本史教科書の縄文時代の記述が劇的に変わったから。1992年に発掘が始まった青森県三内丸山遺跡研究の成果である。広い土地で大人数が一定の秩序をもって暮らせるだけの知的水準と文化を備えた時代。それが新たな縄文像として提示されたのである。北海道から沖縄までほぼ全域にわたり交易があったことも分かってきた

 ▼この女性も遠い地域の話に目を輝かせていたかもしれない。礼文島の船泊遺跡から出土した縄文女性の全ゲノム(遺伝情報)が高い精度で解読されたそうだ。国立科学博物館の研究員を筆頭とする共同研究チームの快挙である。古代人の高精度ゲノム解析は世界でもあまり例がないという。成功は大臼歯に保存状態の良いDNAが残っていたおかげだそう。それにしてもいろいろな情報が分かるものだ。血液型はAで髪は縮れ毛。目の色は茶色で肌の色は濃く耳あかには湿り気がある。お酒にも強かったらしい

 ▼昨年発表された復顔を見ると、どこかで見たようなおばちゃんである。縄文人のゲノムの10%が現代人に受け継がれているというからそれも当然か。お酒に強いと聞くと何だか親しみも湧く。4000年の隔たりはあるが、人間としてはそれほどの違いがないのかもしれない。


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