今も静かにブームが続いている感はあるものの、一番盛り上がりを見せていたのは5年ほど前になるだろうか。いわゆる「日本すごい論」のことである
▼『やっぱりすごい日本人』(あさ出版)といった題名の本が書店の主要な一角を占め、同じ趣旨のテレビ番組も数多く放映されていた。そのほとんどはあれこれ実例を挙げ、「日本人自身は気付いていないけれど、実は日本はすごい国なんです」というものである。日本がすごいと言われて悪い気はしない。魅力や長所に気付くのもうれしいことである。ただ日本人は他人からの評価は気にするが、自己主張は苦手。内輪受けを狙ったべた褒めも良しとしない。「日本すごい論」を聞くとどこか居心地の悪さを覚えるのはそのせいだろう
▼そこへいくとこの調査は客観的で素直に喜べるのでないか。米ペンシルバニア大と米誌「USニューズ&ワールド・レポート」などが最近まとめた2019年〝世界最高の国〟ランキングで日本が80カ国中、2位に選ばれた。昨年の5位から3つ順位を上げたそうだ。最も優れているのは起業家精神。専門技術や教育の高さ、整ったインフラがビジネスを常に革新させているという。期待成長性や生活の質、政治権力の分散、人権への配慮も評価が上がっている
▼ちなみに1位はスイス、3位がカナダ、以下ドイツ、英国と続く。ところでよく指摘される事実だが、この手の調査を受けての外国人の感想は「わが国の評価が低過ぎる」。対する日本人は「こんなに高いはずがない…」。いやいや実は日本はすごいのである。