ロボット施工、VRで技能伝承も 建設業界の高齢化対策

2019年06月04日 12時00分

 建設業従事者の高齢化を受け、健康や省力化に配慮した製品が数々出ている。日本ペイントは高齢の職人が楽に作業できるよう、ローラーやはけの運びのよい塗料のパーフェクトシリーズを用意。プレスボード(本社・石狩)は現場省力化の一助として、工場生産の外張り断熱用複合パネル「アイプラスウォール」を提案している。スーパーゼネコン各社は人材確保の最終手段として、ロボット施工の開発を加速。VRを使った技能伝承の方法を模索している。高齢化対策を技術面から見てみる。

 日本ペイントのパーフェクトシリーズは、施主と施工店、販売店の3者が満足できるよう開発した製品。施工店に向けては塗料の伸びや軽さ、仕上がりを追究して作っていて、近年の業界高齢化も相まって現場から高い支持を集めている。

 プレスボードのアイプラスウォールは、工務店から「大工の人手不足や個人による技量の差を解消できないか」という相談を受け、開発した外張り断熱用複合パネル。合板と断熱材の寸法を現場で合わせる手間がかからないため、省力化に効果を発揮する。

業界の高齢化対策にはロボットによる自動化も鍵を握る(竹中工務店のAXキュイーン)

 高齢化や入職者対策の最終形として、スーパーゼネコン各社はロボット施工の開発を急いでいる。

 鹿島は現場打ちコンクリート仕上げロボット「NEWコテキング」を開発。大容量リチウムイオンバッテリーを搭載し、3時間以上の連続運転ができる。1時間当たり最大700m²の仕上げ作業が可能だ。

 大成建設は、筑波大の伊達央システム情報系准教授の指導を受け、コンクリート床仕上げロボット「T―iROBO Slab Finisher」の自動運転に成功している。あらかじめオペレーターが施工範囲や走行ルートを指定するだけで、ロボットが繰り返し自動走行しながら床作業を進める。

 竹中工務店は、カナモトと朝日機材(本社・東京)、豊和工業(同・愛知県清須市)の3社と建設現場向け清掃ロボット「AXキュイーン」を共同開発した。360度レーザーセンサーによって清掃領域を判断しながら、移動経路を自動で生成する。

 清水建設は「シミズ スマートサイト」を構築し、建築現場に自律型ロボットと建機を導入する次世代型生産システムの確立を目指している。

 技術や知識の伝承方法も高度化している。大林組はVR(仮想現実)によって、現実の建物が教材となる施工管理者向け教育システム「VRiel(ヴリエル)」を開発。岩崎(本社・札幌)やアクティオ(同・東京)、サイバネットシステム(同・東京)はVRを用いた安全教育用ソリューションを提案し、次世代の人材づくりをサポートしている。


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