取引先の海外進出後押しへ
製麺大手の西山製麺(本社・札幌)はシンガポールで27日、日本のラーメン業者に貸し出すための店舗を開く。取引先ラーメン店や開業希望者に、アジア圏の実験店として期間限定で運営してもらう。納品先の海外進出を後押しすることで、麺の輸出拡大につなげる。
立地はシンガポールの大型商業施設「グレート・ワールド・シティ」内。日本の高級食品スーパー、明治屋(本社・東京)の現地法人が同施設にスーパーを出すのに伴って、明治屋のテナントとしてラーメン店を開設する。
ラーメンとギョーザの2コーナーを並べ、約40席を配置する。開業から半年程度は西山製麺が運営して、同施設内での営業ノウハウを蓄積する。その上で来年以降、日本のラーメン店に数カ月単位で貸し出す。本格的な海外進出に向けた事前の市場調査目的のほか、開業希望者の実地訓練の場としても活用する考えだ。
店内ではカーテン類の使い方を工夫し、店が切り替わる際に簡単にデザインや雰囲気を変えられるようにする。消費者に対しては、運営者・店名が定期的に変わり、そのたびに新しい味、メニューが楽しめることをPRする。
店舗の開設や管理は、西山製麺がことし1月に100%出資で設立した現地子会社「サッポロ・ニシヤマ・シンガポール」が手掛ける。ラーメンの麺は原則として北海道から冷凍して運ぶ生麺を使用。子会社が輸入して在庫を管理し、周辺諸国を含めたアジア圏でのハブ機能を担う。
西山製麺は、麺を製造するだけでなく、ラーメン店の開業・営業コンサルティングなどを通して取引先の経営を支援するのが特徴だ。近年は世界的なラーメンブームを受け、海外企業からの麺の注文や、日本企業による海外出店希望の相談が増えている。
同社はシンガポールのほか米国、ドイツに現地法人を持つ。麺の輸出先は現在30カ国の約200店。ここ数年の海外売上高は前年比5割増ペースが続いているという。さらなる出荷拡大に備え、18年秋には本社工場で輸出部門用の生産ラインを増強した。
西山隆司社長は「ラーメンは創作メニューを作りやすく、各国の食文化と融合しながら発展する。世界の市場規模は今後100倍以上に膨らむだろう」と話している。