三方良しの公共事業推進研究会(小野貴史理事長)は18日、札幌エルプラザで「三方良しの公共事業推進カンファレンス」を開いた。基調講演ではトヨタ自動車で元取締役技監を務めた林南八氏がトヨタ式生産方式について話し、適切な現場改善の在り方を示した。
同会は全国建設青年会議による公共事業現場改善の取り組みの一つとして2008年に設立。北海道でのフォーラムを皮切りとして、地域に密着した社会資本整備などについて啓発活動を展開してきた。
小野理事長は地震など相次ぐ災害を引き合いに「国が大変なとき調和が大事だが、日本語では三方良しになる。公共事業の目的は地域の方にインフラを届け、人を育てることだ」と会の目標を解説。来賓の秋元克広札幌市長は次世代に引き継ぐ社会基盤整備、水島徹治北海道開発局長は働き方改革に向けた受発注者間の協力をそれぞれ求めた。
基調講演にはトヨタ自動車で技術ポストの最高位である技監を長年務めた林氏がトヨタ生産方式の本質について解説。特に発注から完成までにかかるリードタイムの概念について「中間工程の外注など部品の滞留時間をいかに少なくするかが重要だ」と論じた。
建築工事現場で一括搬入した資材が基礎などの邪魔になるケースを指摘し「全工程の名称を書き出し、分岐・合流地点の滞留を見極めることが大切」と現場ベースでの改善の重要性を説いた。
働き方改革の事例も紹介した。さらに、実際の現場における生産性向上と働き方改革の葛藤を解消するためパネルディスカッションを通して一層の見識を深めた。
(北海道建設新聞社2019年6月19日1面より)