米IT企業大手アップル社の創業者スティーブ・ジョブズ氏は多くの名言を残している。米スタンフォード大2005年卒業式での学生へのこの助言もその一つ
▼「将来をあらかじめ見据えて、点と点をつなぎ合わせることなどできません。できるのは、後からつなぎ合わせることだけです。だから、我々はいまやっていることがいずれ人生のどこかでつながって実を結ぶだろうと信じるしかない」(日本経済新聞)。東京2020オリンピックの聖火ランナー募集が始まった。こちらは最初から国立競技場の聖火台を目指し全国の点と点をつなぎ合わせていくわけだが、つなぎ合わせるのはそれだけでない。ランナー一人一人の人生もである
▼募集業務を担うパートナー各社のランナー像はこうだ。コカ・コーラ「自分なりの生きがいを持った人」。トヨタ「身近な周りの人のためにさまざまなチャレンジをしている人」。日本生命「大切な人に伝えたい想いがある人」。NTT「地域の人・技・時をつなぐ人」。希望者は意志を簡潔にまとめ、Webサイトなどから応募。審査に通れば晴れてランナーである。独自の物語を持つ彼らも一人では一つの点にすぎない。ただ、聖火を受け渡しながらつなぎ合わせた点と点を後から眺めるとき、そこには壮大な人生絵巻が広がっていよう
▼来年3月26日に福島県を出発した聖火リレーはまず南下し、折り返して本道に来るのが6月14日頃。来月1日には各都道府県実行委員会でもランナー募集が開始される。多くの人生をつなぐ点の一つになってみるのも悪くない。