百舌鳥・古市古墳群が世界文化遺産に

2019年07月09日 09時00分

 大阪府堺市に「新堺音頭」という歌がある。歌い出しはこうだ。「物のはじまりゃ なんでも堺 三味も小唄もみな堺 ホンニソヤソヤ ヨイ堺」

 ▼堺は平安期から漁港として栄え、戦国期には貿易と商業の町へと発展した。その後は鉄砲製造の中心地となり膨大な富が集中。1550年に堺に立ち寄った宣教師フランシスコ・ザビエルが、「日本国中の金と銀がこの地に集まっている」と感嘆したほどだったという。古くからの繁栄を背景に堺を発祥とする物も多く、それが人々の自慢であり誇りでもあったそうだ。先の音頭が作られるにはそんな事情があったのである。今回、そこにもう一つ特大の誇りが加わった

 ▼堺市にある日本最大の前方後円墳「仁徳天皇陵古墳」(大山古墳)を含む全49基で構成する「百舌鳥・古市古墳群」の世界文化遺産登録が決まったのである。国連教育科学文化機構(ユネスコ)第43回世界遺産委員会が6日、古墳時代の文化を今に伝える価値が極めて高く、登録妥当と判断した。古墳群は4世紀後半から5世紀後半に造られたとされる。この時代を歴史学者の網野善彦氏は「より組織的な新しい支配の方式が本格的に模索され」「未開から文明に向かう列島社会の最初の大きな転換がここにはじまる」(『日本社会の歴史』岩波新書)と解説していた

 ▼当時、奈良盆地を拠点とする有力氏族連合(ヤマト王権)は海から見える堺の高台に巨大建造物たる古墳を築造し人心を掌握。国家形成の歩みを進めていった。まさしくこれも「物のはじまりゃ なんでも堺」だったわけだ。


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