JR北海道は22日、道主催の北海道新幹線平行在来線対策協議会の第6回後志ブロック会議に出席し、ホテルJRインを小樽とニセコエリアで計画していると説明した。函館線長万部―小樽間の状況説明では、橋梁とトンネルの土木構造物に今後20年間にかかる大規模修繕・更新費用に64億円を見込んでいることを明らかにした。
JR北海道総合企画本部長の綿貫泰之常務が、JR北海道グループ長期経営ビジョン・未来2031と函館線長万部―小樽間の状況について説明した。長期ビジョンでは2031年度の開発・関連事業の売り上げを18年度の800億円から1200億円まで1・5倍に拡大する目標を設定。北海道新幹線札幌開業に向けてホテル事業拡大、生活関連事業の展開、不動産事業拡大、札幌駅新幹線口の再開発を挙げている。
このうちホテル事業では、道内で10―15棟のJRイン建設を計画。後志管内では見通しがついたものとして小樽とニセコエリアを挙げた。不動産事業拡大では分譲やシニアマンションの年1棟供給、沿線価値を高めるために苗穂工場リニューアル、新札幌駅高架下再開発、札幌西口地区(5―5地区)再開発などを位置付けている。
札幌新幹線口再開発では、北5西1・西2街区の再開発事業を北5西1の地権者である札幌市とともに推進。新タワービルの開発、JRタワーのリニューアル、国際水準の高級ホテル参入などを盛り込んだ。
函館線長万部―小樽間では、列車利用者の推移のほか、17年度末時点の収支に関して24億円の損益が発生していると報告。土木構造物は橋梁122カ所、トンネル15カ所あるが、うち建設後100年以上が経過しているものは橋梁57カ所、トンネル13カ所で、全ての土木構造物にかかる大規模修繕・更新の費用は64億円を試算している。
内訳を見ると橋梁では、鋼橋の腐食対策として46橋86連に8億円、鋼橋の亀裂対策として17連に2億円、橋脚の洗掘対策として8橋脚に2億円。トンネルは覆工材料の劣化・剥落対策として13カ所で47億円、漏水対策として5カ所に3億円となっている。さらに経年劣化に伴う恒常的な維持管理費用増加分として2億円を見込んでいる。
後志総合局で開いた協議会には沿線の小樽市をはじめとする後志管内8市町と長万部町が出席。質疑では黒松内町の鎌田満町長から「新幹線開業の30年度までに土木構造物修繕・更新計画があるのか」と問われ、JR北海道は「状況に応じて必要な対応を取る」と答えるにとどめた。