学校に通う子どもを持つ親にはいささか憂鬱(ゆううつ)な時期だろう。本道も先週から小、中学校で夏休みが始まった
▼子どもには休みでも、特に母親にとっては忙しい日々になることが少なくない。昼食を毎日用意したり、不規則になりがちな生活に気を配ったり。けがや事故にだって注意が必要だ。「登校日これからママの夏休み」女七変化(『平成川柳傑作選』毎日新聞出版)。そんな母親も多いに違いない。父親だっていつものようにのんびり構えているわけにはいかない。見て見ぬふりを決め込んでいたら、妻からも子どもからも冷たい視線を浴びせられよう。「子はなぜに妻の味方につくのだろう」さみしがりやのお父さん(第一生命『サラリーマン川柳』)。愚痴を言ったからとてどうなるものでもない
▼暑いからとビールばかり飲んでいないで、祖父母の家に遊びに行ったり、普段できないレジャーに連れて行ったりと行動あるのみである。子どもと共に過ごせる時間は思っているほど長くない。文豪ドストエフスキーも『カラマーゾフの兄弟』(光文社文庫)で三男のアレクセイにこう言わせていた。「何かよい思い出、とくに子ども時代の、両親といっしょに暮らした時代の思い出ほど、その後の一生にとって大切で、力強くて、健全で、有益なものはない」
▼折しも本年度から働き方改革で有休を5日取得させない使用者には罰則が科されることになった。胸を張って休暇を申請できよう。親としては大変さもあるが子どもの健全な未来のため。この夏休み、大いに楽しもうではないか。