日銀札幌支店は、7月31日に発表した2019年7月の金融経済概況で、道内景気の全体感を「緩やかに拡大しつつある」と、前月の「緩やかに回復している」から引き上げた。「拡大」という表現は少なくとも過去10年では初めてという。記者会見で小高咲支店長は「本道経済はここ5年半回復を続け、マクロ的に需要が供給を上回る状態に差し掛かってきた」と説明した。
判断の引き上げ自体は2月以来5カ月ぶりだった。同支店によれば「拡大」が何カ月ぶりかは10年以上前の本道概況データがないため不明。ただ、国内9地域の中では北海道、東北、四国の3地域以外ではすでに「拡大」が使われているという。
小高支店長は「震災後の災害復旧工事など、公共投資の持ち直しが本道の経済活動を引き上げる要素になっている。雇用や所得の状況からも、一時的な情勢とは受け止められない」と指摘した。
公共投資は前回の「横ばい圏内」から「持ち直している」に上方修正。ほかの項目の判断は変化がなかったが、個人消費について、一部の高額品や耐久消費財などで「小規模ながら消費増税前の駆け込み需要が見られ始めている」とした。
(北海道建設新聞2019年8月1日付2面より)