笑いというと単なる瞬間的な感情の発露のようだが、実際は多くの効用のあることが知られている。疲れているときに無理にでも笑うと元気が湧いてくる、つらいときに形だけでも笑顔を作ると幾らか気持ちが楽になる、といった具合
▼歌手AIさんも『ハピネス』でこう歌っていた。「君が笑えば この世界中に もっと もっと 幸せが広がる 君が笑えば すべてが良くなる この手で その手で つながる」。笑顔には本人のみならず、周りの人をも幸せにする力があるということだろう。この人を見て、あらためてその力に気付かされた。女子ゴルフの渋野日向子選手である。4日、今季メジャー最終戦となる全英女子オープンで優勝した
▼プレー中も笑顔を絶やさぬ明るい姿が観客の心をつかみ、英紙『ザ・ガーディアン』が「スマイリング・シンデレラ」と伝えるほどだったらしい。まだ20歳で海外メジャーは初挑戦。しかも日本勢としては42年ぶり2人目の海外メジャー制覇だそうだから恐れ入る。ミスしてもすぐ気持ちを切り替え攻めにいく姿勢、〝もぐもぐタイム〟に好物の駄菓子を頬張る様子、カップインした瞬間のはじける笑顔。テレビ越しに見ているこちらまで自然と笑顔になる
▼大会後の公式会見で出た言葉は、「なんで私が優勝しちゃったんだろう」。大物である。メジャー挑戦は当面考えないとのことだが、来年の東京五輪出場は確実に視野に入ってきた。うれしいことに帰国後1戦目は、あさって開幕する「北海道meijiカップ」だ。さてどんな笑顔を見せてくれるのか。