ニセコを世界に通用するブランド「NISEKO」に押し上げた立役者の一人に、ニセコアドベンチャーセンター(NAC)社長のロス・フィンドレー氏がいる
▼ニセコの雪質が気に入り、1992年にオーストラリアから倶知安町に移住してきた人である。スキーのインストラクターをしていたが、夏は仕事がない。アウトドア関連の仕事もほとんどなかったため、建設会社で働きながら生活を維持していたという。そんなときに思い付いたのがラフティング、尻別川の急流下りだったそうだ。これをきっかけにニセコ観光の通年化が進み、今の国際リゾートにつながっていったのである。観光資源は雪だけ、アクセスが悪い、若者は出ていく…。弱点にばかり捉われていれば今のニセコはなかったろう
▼IR(カジノを含む統合型リゾート)誘致を巡る議論を聞いていると同じ懸念を感じる。カジノを弱点と考えるあまり、交流人口や雇用の増加による本道発展の可能性まで議論しにくくなっているのでないか。IRは老若男女、人種、国籍の垣根を超えて誰もが楽しめるリゾートとして構想されている。重要なのは国際会議を開けるMICE施設やテーマパーク、ショッピングモール、ホテルなどが一つのエリアに存在すること。経済波及効果はかなり大きなものになろう
▼道は近く、意向把握のため無作為に抽出した一定数の道民を対象とするグループインタビューに乗り出すそうだ。フィンドレー氏が先入観に曇らされていない目でニセコを再発見したように、将来を見据えた深い議論ができるといい。