インターステラテクノロジズ(IST、本社・大樹)は、室蘭工大と超小型衛星を打ち上げるための軌道投入ロケット「ZERO」の事業化に向け、技術の鍵を握るターボポンプを共同研究する。21日に札幌市内で記者会見し、ISTの稲川貴大社長と室工大の空閑良寿学長が抱負を話した。ロケット開発のスタートアップを応援する法人サポーターズクラブ「みんなのロケットパートナーズ」の新規加入者も紹介し、萩原建設工業(本社・帯広)や釧路製作所(同・釧路市)など9者の代表が支援を約束した。
ISTと室工大は、ZEROの事業化を左右する、低コストのターボポンプを共同研究する。ZEROは超小型の人工衛星を宇宙まで運ぶためのロケット。全長22mと5月に打ち上げ成功した観測ロケットMOMOの3倍強の大きさで、ターボポンプなど技術的なハードルが高い。
室工大は、航空宇宙機システム研究センター長の内海政春教授を中心に、白老エンジン実験場などで実証試験を重ねる。ISTスタッフ4人も研究者として参加していて、ターボポンプ開発で重要な役割を担うインデューサ(羽根車)は室蘭市内の企業に製作を依頼している段階だという。
空閑学長は「確かな研究力をベースにした教育力で、今後もイノベーションを創出しながら北海道に貢献したい」とあいさつ。稲川社長は「超小型ロケットは多額の大プロジェクトにならず、打ち上げ時期を選ぶことなく軌道へピンポイントにのせられるのが特長。低コストのターボポンプを共同開発することで、ZEROを事業化させたい」と抱負を話した。
みんなのロケットパートナーズは、帯広信用金庫と釧路製作所、サンケミ、日本エア・リキード、室工大、萩原建設工業、北海道航空宇宙企画、北洋銀行、北海道ベンチャーキャピタルの9者が新たに参画。3月の設立から、延べ17者による産学官金の組織となった。
釧路製作所の新名弘人社長は「MOMO開発で縦吹き架台を製作したが、今後はZEROのランチャー製作などで協力したい」とあいさつ。萩原建設工業の萩原一宏専務は「弊社は良くも悪くもコンサバ(保守的)な会社だが、支援を通して良い刺激を受けられれば」と話していた。