十勝川に遡上(そじょう)するサケを捕獲し、カムイ(神)に感謝の祈りをささげるアイヌ民族の伝統儀式「アシリチェプノミ」が8日、音更町内の十勝エコロジーパークで行われた。30年ぶりに復活した昨年に続く2回目の開催。道内各地のアイヌの人々や帯広市内の建設業者も協力し、アイヌ文化の承継に努めた。
アシリチェプノミは、十勝管内のアイヌ協会で組織する実行委員会が主催。北海道アイヌ協会理事である小川建設工業(本社・本別)の小川哲也社長が実行委員長を務める。帯広市内の建設業者や建設コンサルタント、地域住民らで組織する十勝川中流部市民協働会議が協賛し、開催への申請行為や会場設営などに協力した。
この日は、かわまちづくりに取り組む池田町の勝井勝丸町長や地域住民も参加。川を遡上するサケを捕獲してカムイに感謝する「カムイノミ」では、先祖が帯広にルーツを持つ阿寒アイヌ協会の広野洋会長が指揮を執り、いろりに酒や穀物、たばこの葉を供えて厳かに祈りをささげた。
帯広カムイトウウポポ保存会によるアイヌ民族の伝統舞踊や、アイヌ料理の試食、「マレク」というサケの伝統漁法体験も実施。小川委員長は「多くの人がアイヌ文化を楽しんでくれてありがたい。今後も儀式を続け、アイヌ文化への理解が広がれば」と願っている。