ものまね番組が好きで、ひところは放送があると必ず見ていた。面白い新人も次々出てくる競争の激しい世界だが、その中で人気実力共に優れ、長く愛されているタレントといえばコロッケさんだろう
▼レパートリーがとにかく広く、演歌の北島三郎からダンス系J―POPの「DA PUMP」まで何でもござれ。ただまねをするのでなく、その歌手の顔形や動きの特徴をつかみ、誇張して見せるのが抜群にうまい。ところが苦労はあるもので、表現を不快と感じた歌手やファンに怒られることも昔はあったそうだ。今はそれもないらしい。コロッケさんは出演番組で「まねをするのはその人が好きだから」と語っていた。気持ちが伝わったのだろう
▼お笑い事務所吉本興業の思いが石屋製菓(札幌)に伝わるまでにも随分時間がかかったようだ。「白い恋人」をまねして「面白い恋人」を販売した吉本を石屋が提訴したのが8年前。両社は近く共同開発した菓子「ラフ&スイーツ ゆきどけ」を売り出すという。吉本にしてみれば北海道を代表するお土産に敬意を表する部分があったのかもしれない。べたなネーミングも実に「らしい」。とはいえ外見までそっくりにして、いらぬ混乱を招いたのはまずかった
▼2013年に和解したものの、両社の間では冬の時代が続いていたのである。今回は石屋が関西初出店を機に、吉本へ共同開発を提案。とんとん拍子に話が進んだと聞く。「ゆきどけ」は白色で、口に入れるとほんのりほろ苦いという。さて誰かがまねしたくなるほどおいしくできているだろうか。