日本建築士会連合会は21日、第62回建築士会全国大会北海道大会を函館市内で開いた。全国各地の建築士がセッションを通じて情報共有と意見交換をした。
■青年委員会セッション
優れた地域実践活動を紹介。近畿ブロックからは、京都府建築士会の原利行さんが、2018年10―11月に学生や一般向けに、スマートフォンアプリを使った建築スタンプラリーを実施したことを報告した。
建築について学んでもらおうと企画。テーマを「美術館」に設定し、京都市美術館や府内の優れた建築物17カ所を選定し、必須1カ所を含む6カ所を訪れるとスタンプラリー達成とした。
対象施設に近づくと、専用アプリのマップ上に達成済みを示すスタンプが押される。達成者のみ、建築家の青木淳氏の講演会に無料招待した。
20年度は参加者同士の交流が生まれる仕組みを企画する。原さんは「伝統技術を活用した建物をポイントに設定したい」と話した。
■防災まちづくりセッション
徳島県建築士会は、応急仮設住宅の配置計画モデルの作成業務を報告。南海トラフ地震が起こった場合、県内では約7万200戸の仮設住宅が必要とされている。
一人でも多く生活再建ができるよう、コミュニティーや要配慮者への配慮が必要。サポート施設をどこにどのくらい設置するかなど、配置計画に工夫が求められる。仮設住宅や仮設団地での生活環境が災害関連死につながる場合もある。
被災前の日常生活で利用していた社会福祉サービスを、仮設住宅でも継続して利用できることを目指す。65歳以上は配置要注意とし、ケアがしやすい場所に集める工夫をした。高齢者など災害弱者向け、若年世帯などプライバシーを重視している人向け、この中間と、住区を3つに分けている。
■景観・街中(空き家)まちづくりセッション
北海道建築士会の榊政信後志支部長が、しりべし空き家バンクの事例を紹介。11年に後志総合局から空き家流通の仕組みの構築と試行を委託された。宅建業界、行政と連携し、バンクを設立。空き家と住まい手とをつないでいる。
建物検査を建築士が担うことで安心感が生まれる。物件は仲介事業者を通して契約し、事後のトラブルを防ぐ。
シンポジウムでは「空き家になりそうな物件を把握する必要がある」「自治体と民間が連携し空き家管理に努めるべき」といった意見が出た。