JR九州初代社長の石井氏 JR北海道支援策を提言

2019年09月29日 12時00分

 黒字のJR各社が納めている法人税3700億円の1割程度を、JR北海道の老朽化した設備更新に充てるべき―。JR九州初代社長の石井幸孝氏が、21日に釧路公立大で開かれた鉄道史学会(会長・宮下弘美釧路公立大教授)第37回大会で特別講演し、JR北海道に対する国の財政支援や新幹線による貨物輸送実現などを提言した。

 JR発足に当たり、国は国鉄の旅客部門を本州3社(東日本、東海、西日本)と3島会社(北海道、四国、九州)に分割し、黒字が見込まれた本州3社には借金を負わせ、苦戦が予想された3島会社には運用益で赤字を補てんする経営安定基金を設けた。

石井氏は新幹線による貨物輸送の重要性も説いた

 石井氏は、計画段階での金利想定が年7.3%だったのに対して1990年以降は実質2%程度となっているとし、「JR北海道は20年間で5000億円ほどもらい損ねている」「本州3社は(借金返済の負担が軽くなり)もうかるようになった」と格差拡大の背景を指摘。

 JR北海道には安全性確保に向け老朽設備の更新費と、単独維持困難な主要路線の下部構造維持費など合わせて年間300億円程度を10年ぐらい支援する必要があり、JR各社が毎年納める法人税の10%程度を財源とすべきとの考えを示した。

 同社の健全経営には「人口が多い札幌都市圏では旅客輸送とマンションや駅ビルなどで稼ぐ」「新幹線は札幌まで延びても旅客が赤字。貨物輸送で黒字化する」「関連事業を推進する」ことが必要になると強調。日本全体にとっても重要な食料基地や観光資源、北方領土問題を抱える石勝線・根室本線、宗谷本線、石北本線、釧網本線と物流の大動脈である青函トンネルについては「下部構造のコストを国策として国が負担すべき」と述べた。

 石井氏は「旅客の高速化は人口の集中・過疎を加速させるが、物流の高速化は地方の生産物の価値を上げ地方を活性化させる」として、人口減少による旅客の基礎需要縮小、トラック運転手の確保難という背景も踏まえ、新幹線による貨物輸送実現を主張。「札幌から先の軌間を新幹線と同じにすれば、速度は落ちるが旅客も貨物も釧路が新幹線の始発駅になる可能性がある」と期待した。(釧路)


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