セブン&アイの改革

2019年10月12日 09時00分

 どの業種かにかかわらず、商売をしている人なら実感としてお分かりのことと思う。ビジネスの世界で新たな市場を切り開いた先行者には大きな利益もあるが、同時に後を追われる苦しみもある

 ▼創業してしばらくは商品がそこにしかないため顧客を独占できるものの、儲け話には人が群がるのが世の常。まねする者が陸続と現れ、そちらの方が安く新鮮で品質の良い商品を提供するようになっていく。下克上である。そこで方向転換できれば先行者にも活路が見いだせよう。ところが既に大量の資本を投下している上、強い成功体験もあるためなかなか考えは変えられない。頑固な老艦長を頂く巨大艦船の悲劇である

 ▼セブン&アイ・ホールディングスも流通業界では先行者だっただけに、苦しい事情があったのだろうか。10日発表した構造改革によると、イトーヨーカ堂33店舗で他企業との連携や閉店を検討するほか、そごうと西武では5店舗を閉鎖。セブン―イレブン約1000店舗も閉鎖、移転するそうだ。そんなあれやこれやで2022年度までに、自然減も含め約3000人を削減するのだとか。一消費者としては寂しい気持ちがないわけでもない。ただ、昔は栄華を誇ったとしても、今の店舗が時代に遅れているなら足が遠のくのも当然だ

 ▼ことしは24時間営業に抗議するコンビニ店長の反乱と、キャッシュレス決済「セブンペイ」大失敗もずいぶん世間を騒がせた。経営陣が批判されるのも仕方あるまい。改革はかつての先行者が挑戦者としてやり直す決意の表れだろう。今度は追う立場である。


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