札幌都心アクセス道路 全線トンネル案が再浮上

2019年10月29日 07時00分

 北海道開発局は25日、社会資本整備審議会道路分科会北海道地方小委員会(委員長・田村亨北海商科大教授)を開き、国道5号創成川通(都心アクセス道路)の第2回計画段階評価をした。4構造案のうち、用地補償がネックだった全線地下トンネル案が再浮上し、創成川を暗渠化して中央にランプ引き込みスペースを設けることで路外支障物を回避できることを評価。事業費も200億円程度少ない、1000億―1200億円に低減可能と試算している。

 都心アクセス道路は、札樽道札幌北ICがある札幌市北34条付近から北3条付近までの約4㌔を計画し、北37条での石狩街道との接続部を含めると約5㌔ある。前回会合で①全線地下トンネル②メインは高架橋で都心部のみ地下トンネルの複合③札幌都心へ向かう下り線一部を高架橋とする上下線分離④現道活用の4つの構造案を示した。

 ①、②の案では病院など北ICからの降り口となるダイレクトアクセスランプが現道外にはみ出し周辺の重要施設と重なるため用地・物件補償で時間とコストがかさむ、④は整備効果が低いことなどから、折衷案的な③が有力視されていた。

 今回、住民アンケートなども加味し、線形や構造を練り直した結果、①の全線トンネル案でも支障物件を回避できると説明。創成川の河道を北23条以北から2㌔程度の区間で切り替えして暗渠化し、創成川通中央にダイレクトアクセスランプを地下トンネルへと引き込むスペースを確保する。

 従来は全線片側2車線で構想していたが、北に向かう路線の24条付近で出口を設け、これ以北2㌔弱を1車線化。南下する路線は、札幌新道とダイレクトアクセスランプの引き入れ口間(北31―34条付近)に入り口を設ける一方で、これ以北は1車線に絞る。

 これで対向2車線となり石狩街道と接続するための出入り口(北37条付近)も創成川の現行河道スペースに収まるため、現道拡幅と用地補償が不要。事業費は約200億円程度圧縮される。

 ②の高架案も北31条以北の高架部を片側1車線化するなどして事業費を約50億円減の1000億―1200億円に見直したが、遮音壁など高架の防音対策で150億円程度追加費用が必要と試算。③も約50億円減の850億―1050億円だが、こちらも同様の防音対策に50億円を別途見積もった。右折レーンを17カ所設ける現道改良は変更がなく85億―170億円の事業費を見込む。

 委員らからは「地下構造がベストでは」と①の全線地下トンネル案を支持する声が挙がった。

 今後、札幌市民への情報提供や意見聴取を経て、第3回会合で構造などを決定する見通し。2030年の新幹線開業なども見据えて早期の事業着手を目指す考えだ。

(北海道建設新聞2019年10月28日付1面より)


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