札幌市は昨年9月の北海道胆振東部地震を踏まえ、地震被害想定の見直しに着手した。7日に学識者による検討委員会を発足。現在の第3次想定から10年が経過し、都市環境が変化する中、その妥当性を検証し、地震や被害想定の見直しにつなげる。年度内に検証を終え、2020年度末の見直し完了を目指す。21年度はこれを反映し地域防災計画の修正、地震防災マップ改定を見込む。
検討委員会は谷岡勇市郎北大大学院理学研究院教授を委員長に学識者6人で構成。7日に市内で初会合を開いた。
市は08年度の地域防災計画から第3次想定を採用しているが、人口増や建築の耐震化、都心への人口集中など都市環境は大きく変化。新たな地震や地盤分析法の登場、地盤調査データの蓄積などを考慮し、想定の検証が必要になっていた。
19年度は現想定の検証結果をまとめる予定。胆振東部地震による液状化などの被害を反映しながら地震動、被害の想定項目や評価手法の妥当性を確認。新たな知見、評価手法の採用を検討する。
地震動は月寒断層など想定の震源の妥当性に加え、日本海地震・津波調査プロジェクトで調査を進める石狩平野の地殻構造の結果を反映するかどうかがポイントになる。
被害は都市環境の変化とともに、胆振東部地震や近年の震災で注目された大規模停電、外国人観光客ら帰宅困難者といった要素を取り入れるかを検討する。
報道陣に谷岡委員長は「胆振東部地震の反映が大切。(分析・評価の)新手法開発も進んでいるので反映し、北海道特有の冬季を考慮して検証を進めたい」と方向性を示した。
次回会合は12月に開き、市が進めた検証を中間報告する。
現3次想定は内陸型地震で最大マグニチュード7・5の地震を仮定し、被害を推計。地域防災計画など対応の根拠としている。
(北海道建設新聞2019年11月8日付12面より)